
丁寧に住み継ぐ物語
歴史を刻む太い梁。蔵ならではの重厚感ある雰囲気。木枠の窓や扉にはめ込まれた手作りのガラスが、望む景色にさざ波のオブラートをかけ、表情豊かな模様付きのガラスにそっと指を添わせたくなるような、ぬくもりを感じます。 初めてだけれど、どこか懐かしい場所。なぜか気持ちが落ち着き、ほっとひと息。ふと時の流れを忘れ、ひとときを過ごしていたことに気づくでしょう。
匠の技を持つ大工さんが愛情込めて建てた家は、100年経ってやっと落ち着くと言われています。便利であることが当たり前の現代に、守ろうとする人がいなければ消えてしまう古民家。手放してしまったら、この景色をもう一度見ることは難しいかもしれません。
これからご紹介するのは、先人の知恵や思いに敬意を表し、日々、愛情を込めて手入れをしながら、大切な人たちと過ごす場所を住み継ぐ物語です。この本を手に取ってくださった皆さんが、気になる場所を見つけ、足を運んでくれますように。そして、そこが心満たされる とっておきの空間となることを祈って…。